メッセージ

メッセージ

私たち人類は今、人類史の重大な岐路に立っています。人間が地球環境を支配する新たな地質時代「人新世(Anthropocene)」が始まったとされる20世紀半ば以降、人類は地球に巨大な負荷をかけ続け、地球システムの限界(Planetary Boundaries)をあちこちで踏み越えています。異常気象の頻発や新型コロナなど新たな人獣共通感染症の発生など、その深刻な帰結が目の前で起こっています。このままでは間もなく、1万年にわたり人類文明を育んできた安定した地球環境は大きくバランスを崩し、人類社会は危機に瀕することでしょう。

私たちは、急いで地球という人類の共有財産(Global Commons)を守る方法を見つけ、合意し、行動しなければなりません。具体的には、エネルギー、食料、資源循環、都市といった地球システムに大きな影響を与える社会・経済システムを大転換し、人類と地球が共に持続可能な未来を築く必要があります。急速に発展するデジタル技術とデータ、すなわちサイバー空間を正しく活用し、この転換を加速することもできます。

当センターは、このような認識の下、グローバル・コモンズの責任ある管理(Global Commons Stewardship) に関する国際的に共有される知的枠組みの構築を進めます。それは、今世紀半ばまでに地球環境の限界内での持続可能な開発を達成するための統合的なシナリオ経路や政策・ビジネスのガイダンスとなる指標等に展開され、実践されるものです。

また、その枠組みに基づき、エネルギー、食料、資源循環、都市など主な社会・経済システムの転換を、ビジネスはじめ様々なステークホルダーと連携して促進します。(multi-stakeholder coalition)

東京大学は、人類が直面する挑戦への根本的な解決策を探求するために、アカデミアの境界を超えた幅広い分野のリーダー達との協創を通じ、社会変革を駆動する主導的な役割を果たそうとしています。本センターは、その一翼を担います。


グローバル・コモンズ・センター ダイレクター
石井菜穂子
(東京大学 未来ビジョン研究センター 教授)

 

グローバル・コモンズ・センター(CGC)の設立

グローバル・コモンズ・センターは、2020年8月、五神真総長(当時)の「大学は、人類が直面する挑戦への根本的な解決策を探求するために、アカデミアの境界を超えた幅広い分野のリーダー達との協創を通じ、社会変革を駆動する主導的な役割を果たすべき」というビジョンを実現する組織として発足しました。

その直前まで8年にわたり地球環境ファシリティ(GEF)の CEO 兼議長を務めた石井菜穂子が、「持続可能な未来のために、グローバル・コモンズを管理する新しい枠組みを構築する」ことをセンターの使命として掲げ、初代ダイレクターに就任しました。

このページの先頭へ戻る