Net Zero Japan 2050 ーSummary for Business Leaders―を公表

Net Zero Japan 2050 ―Summary for Business Leaders―

“2050年の脱炭素化シナリオの中間報告まとめ”の公表

 

世界の温暖化が科学の予測を上回るペースで進行し、グローバルコモンズである地球環境の持続可能性は危機的な状況に置かれており、パリ協定で示された1.5℃目標の達成はますます切迫した世界的な課題となっています。東京大学グローバル・コモンズ・センターは、日本のビジネスリーダーと緊密に連携し、2021年に産学プラットフォームであるETI-CGCを設立しました。ここでは、気候変動危機に対処するため、日本のエネルギーシステム転換のみならず、豊かな未来の実現に必要な経済・社会システム構築へのパスウェイを科学的見地から示す活動に取り組んでいます。この活動の一環として、2050年の日本のエネルギーシステムを脱炭素化するNet-Zero Japan 2050シナリオ分析を行ってまいりました。このたび、その中間分析結果の要約を Summary for Business Leadersとして公表致します。

1.5℃目標の達成のためには、今世紀央までに、経済の脱炭素化が不可欠です。本レポートは、その第一歩として、2050年においてNet Zeroを実現できるエネルギーシステムの定量的なシナリオを例示するもので、今後のNet Zero実現に向けた戦略をバックキャストにより策定するための起点となることを目指しています。

本レポートでは、再生可能エネルギーの導入、化石燃料から電力へのエネルギー転換(電化の推進)、CO2フリー燃料の利用拡大、原子力利用、CO2地中貯留など、科学的に認知された手段を組み合わせ、日本の状況を考慮した上で、2050年のネットゼロ達成可能性を定量的に明示しています。同時に、大規模な電化や大容量の再エネ導入、CO2フリー水素の調達など、技術的に可能ではあるものの、大胆な政策・投資なしでは実現不可能なトランジションの必要性も明らかにしています。

当センターは、本レポートの公表を契機に、日本のビジネスリーダーやステークホルダーの間で、効果的、かつ経済的にも実現可能なかたちでネットゼロを達成するパスウェイについて広く議論が喚起されることを期待しています。

当センターは今後も、それぞれの産業セクターにおける技術開発・社会実装の重点的な取り組み対象や、トランジションを実現するための政策やファイナンスなどの検証、産業構造を含む社会・経済のビジョンなど、さらなる分析を発展させていく予定です。

レポートはこちらから

2023年06月30日
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