東京大学 グローバル・コモンズ・センター(CGC)は、「Tackling international spillovers: an overview of policy options」と題するディスカッション・ペーパーを発表しました。 本ペーパーは、 CGCが2020年から国際的なパートナーとともに実施している 「グローバル・コモンズ・スチュワードシップ・イニシアチブ(Global Commons Stewardship Initiative)」 の活動の一環として作成されました。
今日の経済と市場は、ビジネスモデルが自然界に及ぼす社会的コストを十分に算定できていません。 ゆえにグローバル・コモンズ(人類の繁栄と安全保障が依存する、安定的で回復力のある地球システム)を弱体化させています。 各国の政策は国内優先になりがちで、 グローバル・コモンズの劣化につながる他国への重大な環境への悪影響を無視しています。
しかし、環境への圧力は国境を越えています。 CGCが国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)と共同で発表した 「グローバル・コモンズ・スチュワードシップ(GCS)指標」 は、 森林破壊の47%、温室効果ガス(GHG)排出の33%、水ストレスの24%が、国際的な波及効果 (そのほとんどが貿易を通じたもの)によって引き起こされていることを明らかにしています。 こうした波及効果によってもたらされる課題に取り組むには、 自然資本に対する価値観を大きく転換する必要があります。 また、 このような取り組みは、 国際的な波及効果を抑制し、 経済システムの転換を推進するための政策や、 ビジネス上の対応を伴ったものでなければなりません。 緊急に必要なことではあるものの、 時間がかることが見込まれます。
このディスカッション・ペーパーは、(1)目標設定とモニタリング、 (2)公共管理、 (3)規制、 (4)財政政策と資金調達、という4種類の国家政策レバーが、 国際的波及効果にどのように作用し、 問題解決に取り組むことができるかということを理解するための枠組みを提供しています。 需要サイドと供給サイドの政策手段と、 それらがグローバル・コモンズに与える影響について考察し、 各国の政策立案者が今すぐ行動を開始するための実践的な教訓を明らかにしています。
関連リンク
ディスカッション・ペーパー全文 Tackling international spillovers: an overview of policy options (PDF, 3MB)
グローバル・コモンズ・スチュワードシップ(GCS)指標 (PDF, 6MB)
グローバル・コモンズ・スチュワードシップ・イニシアチブ