2050年、脱炭素社会の実現に向けて

~世界の課題に貢献するパスウェイを描く~
日本が脱炭素(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現するには、抜本的な経済社会システム転換とそれを支える幅広い議論が必要です。そこで日本企業有志と東京大学グローバル・コモンズ・センターは、2021年11月5日、日本の脱炭素のパスウェイを描く産学連携のプラットフォーム、ETI-CGC(Energy Transition Initiative – Center for Global Commonsを設立しました。
ETI-CGCは、次の5つの原則に基づき、推進されます。
- グローバル・コモンズである地球環境の持続可能性を守る。このため、日本の温室効果ガスの排出を2050年までにネットゼロにする道筋(パスウェイ)を描く。
- 世界や日本における知見及び科学的洞察を基に、カーボンニュートラルを達成し、幸せと豊かさを実現する、地域事情に沿ったパスウェイを模索する。
- このパスウェイが、多様な地域事情を抱える国々にとっても役立つモデルとなり、世界全体のカーボンニュートラルに貢献することを目指す。
- パスウェイを実現していく過程は、日本の産業構造、経済社会システムや行動様式を未来に向けて変えていく機会であるととらえ、どのようにその機会を活かすかをも議論していく。
- 関連する政策提言などを行い、日本における議論を広く興すため、リーダーシップを発揮する。
第1期 最終レポート
本レポートでは、2050年に日本がネットゼロを達成するためのエネルギーシステムの全体像を、エネルギー・電力需給モデルを用いて統合的かつ定量的に示しています。
その特徴として、再生可能エネルギーや原子力発電に加え、水素・合成燃料・バイオマス・CCS等が果たす役割を複数のネットゼロ・シナリオを用いて比較分析し、発電・運輸・鉄鋼・化学等のセクター間の複合的な相互影響構造を明らかにしています。また、再生可能エネルギー中心のシナリオに加えて、多様なカーボンニュートラル燃料を組み合わせるシナリオを並列に評価し、共通施策と分岐点を整理しています。なお、これらのシナリオは将来予測ではなく、政策・投資判断の基盤としての将来像を提供することを目的としています。
加えて、本レポートでは日本がネットゼロを達成しつつ国際競争力と経済成長を維持・強化するという観点から、今後のシナリオ研究の方法論も提示しています。具体的には、最小コストでネットゼロを実現するシナリオがGDP等に与える社会経済的な影響を算出し、付加価値を最大化する施策に関する示唆を導出しています。さらに、シナリオ作成においてネットゼロに加えて重視すべき視点として、ネイチャーポジティブ、サイバーインフラ、モビリティ、イノベーションと経済成長、グローバルサウスと国際連携の5つがあることを明らかにしています。


